座右の人

カテゴリー：KBほっと通信

2010年11月16日

以前、参加した女性セミナーのグループワーク。
２時間ほどの課題の後の反省会で、

10名ほどのグループ（皆初対面）の中の
リーダー役の人から
「今回の課題への取り組みは失敗でした。
その原因はあなたです。」と
皆の前で名指しされました。

思ってもみなかった言葉に
頭の中が真っ白になりながら、かろうじて
「自分としては頑張ったつもりですが、
皆さんに迷惑をかけたならすみません。」
とあやまりましたが、

自分が情けなくてつらくて悲しくて・・・
帰り道、阪急電車の吊革にすがって
（おそらくうつろな目をして）立っていました。

するとそんな私にそっと近付き、
「たいへんだったね。」と声を掛けてくれた
女性がいたのです。

セミナーに参加していた、
他のグループのメンバーでした。
ただならぬ雰囲気の私達グループの様子が
他のグループにも伝わったようです。

「たいへんだったね・・・。」その一言が、
温かいスープのように
私の凍りついた心に優しくしみわたっていきます。

 

岡町から乗って曽根、服部、庄内と、
１０分足らずの彼女との会話で
私は救われました。

二度と会うこともない彼女。

あとになって、
あの時名前を聞いておけばよかった。
いや、勤務先はわかったのだから
勤務先宛にでもお礼状を書けばよかった。

庄内駅で別れた後、
もう一度追いかけて行って

「あなたのおかげで本当に救われました。
　ありがとう。」と
ストレートに思いを伝えればよかった。

等々と後悔ばかりです。

今、あの時の彼女よりずっと年上になって
しまった私ですが、
あの時の彼女には追いつくことができません。

「たいへんだったね・・・」と
傷んだ人にさりげなく寄り添うことができる人。

常に自分の心にとめておいて、
戒めや励ましとする格言を“座右の銘”と
言うのなら、

私にとって“座右の人”と言ってもいい、
そんな素敵な人でした。

　　【し】