カテゴリー:整備日誌
車種:フィアット アバルト124
型式:CBA-NF2EK改
走行距離:58,287㎞
メカニック:長野 清志
<入庫時/お客様からのオーダー>
〇プラグホールからオイル漏れしている。
〇オイルの減りが早い。
お客様のご要望事項でありましたプラグホールのオイル漏れ修理(バルブカバー・ガスケット、プラグホールシールの取替)を完了後に、エンジン不調を検知。ダイアグ・コードの読み取り点検を実施したところ、1番シリンダーの失火、圧縮抜けを検知しました。この問題についてお客様にご報告し、改めて原因究明、ならびに対策修理をご用命いただきました。
マニュアル・仕様書が入手できない車両かつ、社外用品の配線等複雑に混在していたため、入念に作業前の状態確認、記録保全を実施。
圧縮の原因解析のため、シリンダヘッドの取り外し、バルブの状態チェックが必要でした。シリンダヘッドの取り外しの前提作業として、エンジンルーム補機類の取外しを進めていきます。
エンジンルームの補機類取り外しを完了し、カムシャフトの取り外し、シリンダヘッドの取外しにかかっていきます。
本車両は、インテークバルブを油圧で開閉するシステムになっていました。構造書、マニュアルを入手できなかったため、取り外しの順序の誤りでシステムに障害を与えることを懸念しました。最終的には、正規ルートでの手順書は入手できず、他社のWebサイトで見つけた同車種の実施レポートより順序を確認。油圧ボデーから取り掛かりました。
インテークバルブの油圧ボデー、カムシャフトの取り外し、車外へのおろしが完了。シリンダヘッドの取り外しに着手します。
シリンダヘッドを取外し、問題と思われる1番シリンダのエキゾーストバルブの状態確認に入ります。
エンジン不調の原因が特定できました。エキゾーストパイプが溶けていたことによる圧縮抜けと判明。その要因としては、部品自体の耐久性、もしくはエンジン内部の異常燃焼も考えられます。燃料噴霧量の設定を薄めにチューニングしているとのことなので、それが要因の一つの可能性も考えられます。(納車後、お客様にてチューニングを元に戻すとのこと)
エキゾーストバルブの全数取替、インテークバルブの修正、シートリングの修正バルブステムシールの交換作業を伴う、シリンダヘッドのオーバーホールを実施しました。
交換部品、修正部品を組み付けていきました。マーキングに従い、組み付け誤りがないよう注意を払い作業を進めています。
組み付けを完了し、エンジン失火・圧縮抜けを検知していた1番シリンダを計測。正常な数値に回復が認められ、さらに試運転走行においても不調が解消されていることを確認し、お客様にお車を納車させていただきました。
ご入庫日:令和2年11月24日
ご納車日:令和3年2月12日
後日(4月)、1000㎞以上を走行された後、当社にご来店いただき修理後の点検をさせていただきました。非常に調子が良くなったと言っていただき、メカニックとしてとても嬉しい気持ちになりました!!
会長
技術の最先端を求めて!社名を考えました。お客様や同業者からも称賛される会社を夢見ています、現在まだまだですけれど・・・。