スリッパの一生

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分別のある大人ならば、
左右の靴を間違えてはいてしまうことは、まずないと思うが、
スリッパの場合、もともと全く同じ形をしており、
おろしたての時は、どちらが右でも左でもありうる。

自分で使うスリッパは、
どちらかを右、もう片方を左、と決めて使うことが多いので、
なじんだ頃に、ふと違う方を履いてしまうと
足の裏に「おぅ」と一瞬の違和感が走る。
すでに、左右それぞれが「オンリーワン」を主張しているというわけだ。
いや、我々個々の足の裏によって
右スリッパ・左スリッパが育成されつつある、といった方が正しいか。

その点、旅館のスリッパなどは右も左もなく、不特定多数の足が相手。
「いつなんどきでも柔軟に対応しますよ、我らは。」と
処世術を心得た大人の顔で、淡々と並んでいる。

スリッパとしてこの世に生まれ出た身としては、
どちらの方が「スリッパ道」をまっとうすることになるのだろうか。

たまに左右をまちがえてマイスリッパに足を入れたとき
ふと思いを馳せてしまう、スリッパの一生。

【し】

笠井 利昭

部門/役職

会長

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技術の最先端を求めて!社名を考えました。お客様や同業者からも称賛される会社を夢見ています、現在まだまだですけれど・・・。